うつ病は他人事ではありません
今は元気な人であったとしても、いつ、うつ病になるかわかりません。
そうです。うつ病は誰にとっても無関係なものではないのです。
いつ自分がうつ病になっても不思議ではない。決して他人事ではないということを知っておくことが大事です。
そして、もし自分がうつ病になってしまったら・・・ということを想定して、対策を考えておけば、いざというときに慌てず冷静に対処しやすくなります。
うつ病だとみんなに打ち明けるか?
うつ病になってしまったとき、早い段階で直面することになる難題があります。
それは、自分がうつ病であることをみんなに打ち明けるかどうかということです。
そもそも、精神科や心療内科などではっきりと「うつ病」と診断されると、多くの人は戸惑いを感じたり、動揺したり、場合によっては絶望感に襲われてしまうものです。
そこで精魂尽き果て、諦めてしまう人もいますが、たいていの人は「早く治したい」と思うはずです。それも、「誰にも知られずに」と思う人が多いようです。
つまり、自分がうつ病であることを隠したまま生活するなかで早く治そうと考えるということです。
ではなぜ、うつ病であることを隠そうとするのでしょうか?
それは、うつ病への理解がまだまだ十分ではないという社会背景があるからです。
世の中には、うつ病の人のことを「なまけている」と見なしたり、「うつ病になるのは気が弱いからだ」などと決めつけてしまう人もいるのです。
そのため、うつ病であることを打ち明けることで、さまざまな面で不利益を被ったり、不快な思いを強いられることがありうるのです。
ということは、うつ病になった場合、その事実を誰にも打ち明けず、隠し続けたほうがいいのでしょうか?
これは、非常に難しい問題だと言えるでしょう。
これまでにうつ病を経験した人たちの話からは、「打ち明けてよかった」という意見がある一方では、「打ち明けなければよかった」という意見も聞かれるからです。
つまり、この問題に対する「正解」はないということが言えるでしょう。
そして、打ち明けるとしても、どこまでをどう伝えるかはケースバイケースとしか言いようがないのが実情なのです。
うつ病だと上手に伝える方法はないのか?
うつ病への理解が不十分ななかでわざわざ自分からうつ病であることを打ち明けることには大きなリスクが伴うのは、残念ながら事実と言えるでしょう。
だからといって、打ち明けなければ、誰の理解も協力も得られないことになります。
うつ病であることを隠したまま生活するのは非常につらいものです。孤独感に支配され、ますます病状を悪化させてしまう恐れがあります。
やはり、うつ病を早く治すためには、周囲の理解と協力が欠かせないのです。
では、どのような伝え方をすれば、周囲の理解を得ることができるのでしょうか?
周囲の理解を得られる上手な伝え方
うつ病であることを周囲に打ち明ける際には、以下のような点を考慮するといいでしょう。
(1)伝える内容をまとめる
まず、自分が何を伝えたいのかを整理し、まとめましょう。
具体的には、「うつ病」ということは伏せ、単に「病気」であることだけを伝えるのか、はっきりと「うつ病」であることも伝えるか、ということです。
あるいは、「病気」とか「うつ病」といった言葉を出さずに、「自分はこうなんです」と、現在の「状態」を伝えるというのもひとつの手でしょう。
(2)伝えるかどうかを考える
どのように伝えるか、という以前に、そもそも伝えるかどうかを考えることも大事です。
さまざまな人間関係の中には、伝えないほうがよい場合もあります。
理解を得られないことが予想される人には、わざわざ伝える必要はないでしょう。
また、理解は得られたとしても、必要以上に相手に負担をかけてしまうことも考えられるので、そのような場合は、「打ち明けない」という選択もアリでしょう。
このように、相手の立場、性格、気持ちを考えたうえで、うつ病であることを伝えるかどうかを考えましょう。
(3)「話し方」や「文章」を考える
相手に何かを伝える場合、口頭で伝える方法のほかに、文章にして手紙を渡すという方法もあるので、どちらが伝えやすいか、伝わりやすいかを考えて選びましょう。
そのうえで、口頭で伝える場合であれば、自分がうつ病であることを伝えるにしても、自分のことだけを一方的に話すのではなく、相手とうまくコミュニケーションをとりながら伝えることが大切です。
うつ病であることやそのつらさをわかってほしいという切実な気持ちは理解できますが、やはり相手のあることなので、この点は十分に考慮する必要があるでしょう。
また、口頭で伝えるのではなく、文章にして渡すというのもひとつの方法です。
伝えたいことを文章にすることで頭の中が整理され、より相手に伝わりやすい内容にすることができます。
そのためには、一度書いてすぐに渡すのではなく、下書きをして読み返してみて、きちんと相手に伝わるかどうか、また、どのように伝わるかをイメージしてみることも大事です。
このように、口頭で伝えるか文章にするか、どちらが伝わりやすいかは、伝える相手の状況を考慮したうえで決めるようにしましょう。
いずれにせよ、うつ病を克服するうえでは、周囲の理解と協力が不可欠です。
そのためには、うつ病であることを伝えることが重要です。
しかし、場合によっては、伝えないほうがいいということもあるということも頭に入れておきましょう。
そのうえで、どのように伝えるかを考えるようにしましょう。
日本カウンセリング普及推進協会運営のカウンセリングサロンクローバーでは、うつ病の人のさまざまなご相談に対応しています。
「うつ病だと伝えたほうがいいのか?」「どのように伝えればいいだろうか?」といったご相談にも応じていますので、お困りのことがあれば、いつでも気軽にお尋ねください。