混同されやすい「カウセリング」「セラピー」「コーチング」
スピード化や複雑化が進む現代社会においては、ストレスによって心のバランスを崩す人が増加しています。
それにともない、「カウンセリング」や「セラピー」といった、心に作用するものへの注目度が急速に高まっています。
これらは心理療法の一種であり、心を病んだ人のケアに用いられるもので、聞いたことがある人も少なくないでしょう。
しかし、この「カウンセリング」と「セラピー」。聞いたことはあっても、何がどう違うのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
実際、どちらも同じようなものと思っていたり、間違った捉え方をしている人もいるなど、混乱が見られるようです。
さらに、最近では、この2つに加えて、「コーチング」という言葉もよく聞かれるようになり、ますます混乱が広がっているように感じられます。
そこで、今回は「カウンセリング」、「セラピー」、「コーチング」の3つについて、それぞれどのようなものなのかを整理し、わかりやすく解説していきましょう。
カウセリング~悩みを一緒に考える
「カウンセリング」という言葉はさまざまな分野で用いられることがあり、「結婚カウンセリング」や「就職カウンセリング」「美容カウンセリング」といったものがあります。
ここでは、言うまでもなく「心理カウンセリング」について解説していきます。
この心理カウセリングは、相談に来られる方の悩みや心配事をじっくり聞き、対話をしながら一緒に考えていく中で、その人が自分自身を見つめ直し、自分の力で悩みや問題を解決できるように導いていくというものです。
心理カウンセリングを行う心理カウンセラーは、相談者の話を「聞く」だけではなく、その気持ちに「共感」したり、一緒に考えていく中で、悩みや問題を整理し、その人自身がどうすればいいのかを気づけるように導いていきます。
基本的にはカウンセラーが積極的にアドバイスを行うことはありませんが、必要に応じてアドバイスをすることもあります。
セラピー~弱った心を癒す
カウンセリングと混同されることがよくあるのが「セラピー」です。また、カウンセリングを行う「カウンセラー」と、セラピーを行う「セラピスト」も混同されることが多い言葉と言えますが、いずれもまったく異なるものなのです。
たしかに「カウンセリング」と「セラピー」は、どちらも心理療法の一種ですが、それぞれに違いと特徴があり、相手や状況により使い分けられるものです。
そもそも「セラピー」というのは、「治療」「治療法」といった意味の言葉です。
このことからもわかるように、れっきとした医療行為であり、精神科の医師が行うものです。
つまり、病気の症状を訴えている「患者」に対して、「治療」として行うものであるということです。
しかし、この説明に違和感をおぼえる人も少なくないのではないでしょうか?
その気持ちもよくわかります。
みなさんがイメージしているのは、「アロマセラピー」に代表されるような、癒し系の行為なのではないでしょうか?
最近、たびたび見聞きすることがある、いわゆる「癒しのためのセラピー」は、もちろん、医師が行う治療行為ではありません。
「アロマセラピスト」や「ボディセラピスト」などが、心身が疲れた人に対して癒し効果を与えるものが、「セラピー」というわけです。
最近では、癒しを求める人が増加していることもあり、さまざまな種類のセラピーが注目されるようになり、人気が高まっています。
もっともよく知られているのは「アロマセラピー」でしょう。
これは、説明するまでもないかもしれませんが、リラックス効果のあるアロマ(香り)を使って、心身が疲れた人を癒すというものです。
カウンセリングとの大きな違いは、身体に直接触れて施術を行うなど、積極的に心身に働きかけるという特徴があることです。
最近では、「アニマルセラピー」「ミュージックセラピー」「アートセラピー」「カラーセラピー」「森林セラピー」など、多種多様なセラピーが登場し、癒しを求める人に人気となっています。
コーチング~やる気を引き出す
最近、耳にすることが急激に多くなってきているのが、この「コーチング」ではないでしょうか?
コーチングとは、その人が自分の目標に向かって邁進できるよう促し、目標を達成できるようにしていく技術のことを言います。
このコーチングを行う人のことを「コーチ」と呼び、目標達成のためにやるべきことを提案したり、自分で見つけ出して進んで行けるように促していきます。
また、その人が持っている能力をさらに向上させることをサポートしていきます。
カウンセリングやセラピーと異なる点は、心理療法ではないということが大きいでしょう。
したがって、病院やクリニックなどの医療機関で行われることはありませんが、心理学の理論やアプローチ法が取り入れられることがあります。
最近では企業が社員研修などに取り入れ、やる気を引き出したり、モチベーションをアップさせることに活かされるケースが増えています。
また、自己啓発を目的として、セミナーが開催されることも多くなり、コーチングを行う「コーチ」は、「トレーナー」と呼ばれることもあります。
心の「ケア」や「癒し」とはまったく異なり、いわば自分を高めることを目的とした、心の鍛錬のためのものと考えるとわかりやすいのではないでしょうか?
したがって、心が弱ってケアや癒しが必要な人には向きませんが、「自分を変えたい」「新しい自分になりたい」といった自己変革や、「自分を高めたい」といった向上・実現・達成を求める人に適していると言えるでしょう。
ストレス社会に欠かせないカウンセリング、セラピー、コーチング
「カウセリング」「セラピー」「コーチング」について解説してきましたが、それぞれがどのような特徴があるのかがおわかりいただけたと思います。
そして、それぞれの目的と、どのような人に向いているかを簡単にまとめると、次のようになるでしょう。
・カウンセリング:心の安定 → 心のバランスが崩れた人
・セラピー:心身の癒し → 心身が弱った人・疲れた人
・コーチング:心の変化・向上 → 自分を変えたい・高めたい人
以上のように、一見すると違いがわかりにくく、混同されたりすることがありますが、いずれもまったく異なるものなのです。
そして、冒頭でも述べたように、ストレス社会と呼ばれる現代において非常に注目度が高まっていることからもわかるように、私たちに決して欠かせない重要な存在なのです。
協会カウンセラーは使命感を持って取り組んでいます
私たち日本カウンセリング普及推進協会運営のカウンセリングサロンクローバーでは、「カウンセリング」「セラピー」「コーチング」の中でも、特に「(心理)カウンセリング」に力を入れて取り組んでいます。
対象としているのは、一般的な悩みはもちろん、うつ病に特化したカウンセリングも行っています。
当協会には経験豊富なカウンセラーが多数在籍しておりますので、みなさんのあらゆる悩みに対応させていただいております。
ストレス社会において、カウンセラーの役割は非常に大きくなっていると痛感しております。
私たちは使命感をしっかりと持ち、みなさんの心のケアのお手伝いをさせていただきたいと思っております。