最大9連休の影響で「五月病」が増加
つい先日、「五月病」に関する記事を投稿したばかりですが、今年はゴールデンウィークが最大9連休であったことから、五月病になる人が多いと考えられます。
実際、日本うつ病サポート協会運営のカウンセリングサロンクローバーでも、連休が終わりに近づいたころからカウンセリングの予約が増加し始め、私たちカウンセラーもその対応に追われているところです。
この状態はしばらく続きそうな気配であり、私たちカウンセラーはともかくとしても、みなさんの「心の健康」が気がかりでならないというのが正直なところです。
五月病に陥って苦しむ人がさらに増えないためにも、そして、すでに五月病になってしまっている人が、そこから脱するためにも、お役に立てる情報を提供したいと思い、前回よりさらに詳しく五月病について解説したいと思います。
一部に、前回と重複する部分もありますが、それは重要なことであるため、再度、記載させていただいていますので、ご了承ください。
そもそも「五月病」とは?
毎年、5月になると話題になり、一種の社会問題にさえなっている「五月病」。
ゴールデンウィーク明けから見られるようになり、すでにお馴染みの存在と言えるでしょう。
しかし、今年はいつもとちょっと違います。
みなさんご承知のように、今年のゴールデンウィークは最大9連休であったため、出社や登校の日である5月8日(月)が近づくにつれて、憂うつ感などがあらわれる人が多かったようです。
こうした事態に対応するためには、なんといっても五月病について知っておくことが大事です。
まず、「五月病」というのは、あくまでも「通称」であって、正式な病名としては存在しません。
「五月病」という名称は、文字通り、5月に顕著に見られることに由来しています。
5月に顕著に見られるようになるということは、原因はそれ以前にあることが容易に想像できると思います。
5月の前月である4月というのは、多くの人が新生活をスタートさせる時期です。
そのため、新しい環境で生活することになる人が多くいます。つまり、「環境の変化」を経験する人が多くなるということです。
この「環境の変化」というのは、人にとって非常に大きなストレスとなるものなのです。
たとえば、会社や部署、学校やクラス、住む場所などが変わるということです。
こうしたことは、新鮮な気持ちになり「楽しみ」と感じる半面、「どんなところだろう?」「うまくやっていけるだろうか?」といった不安も同時に感じ、大きなストレスとなります。
また、新しい環境に入るまでには、期待や理想などをもとにして、自分なりのイメージを形成し、膨らませているものです。
さらに、新しい環境に入ってすぐは、不安や緊張によって、「なにがなんだかわからない」といったところからスタートするものです。
そして、次第に周りの状況や仕事の内容、関わっている人のことなど、いろんなものがようやく見えてくるようになります。
それが、ちょうどゴールデンウィーク前あたりであり、その頃に「思っていたのと違うな」とか「期待していたのはこんなのじゃない」「現実とはこういうものなのか」といったように、それまで思い描いていたイメージと現実の間に存在するギャップに落胆したりすることが多くあります。
また、「この仕事は自分に合っていないのではないか」「自分には能力がないのではないか」といった葛藤を抱くケースも少なくありません。
そして、落胆や葛藤などを抱え、複雑な心境になり、思い悩むようになってきた矢先にゴールデンウィークという長期の休みに入ることになります。
それまで張りつめていた気持ちが一気に緩んで、気が抜けたようになってしまったり、いろいろ考えてしまい、悩みを深めてしまったり、自信をなくしてしまったり、何もやる気にならなくなってしまったり・・・。
そして、ゴールデンウィークが明けても、意欲的に仕事や勉強に取り組むことができなくなったり、場合によっては、会社や学校に行けなくなってしまうケースもあります。
つまり、新しい環境へうまく適応できなくなるということから、五月病の症状は「適応障害」に該当する場合が多いとの指摘があります。
また、新しい環境に慣れるためにかかっていた負荷が連休で取れることで、うつ病の症状が出るとの指摘もあります。
あらわれる症状の種類や程度は人によって異なるため、精神科や心療内科では、「うつ病」や「自律神経失調症」、「パニック障害」などと、各々、異なる病名が下されるケースもあります。
具体的な症状には、不安感や無気力、不眠、食欲減退、疲労感といったものが挙げられます。
これらも含め、五月病の代表的な症状として、次のようなものがあります。
≪「五月病」の代表的な症状≫≫
・寝つけない、夜中に目が覚める、朝早くに目が覚める
・食欲がない
・憂うつ、気が重い
・やる気が出ない
・不安感がある
・「会社(学校)に行きたくない」と思う
・外出したり、身体を動かすのが面倒になる
・寝ても疲れが抜けない
これらは五月病の代表的な症状ですが、これだけではありません。五月病は、あらゆる体調不良・メンタル不調を引き起こす恐れがあります。
したがって、「いつもと違うな」と感じる不調が生じた場合は、五月病を疑ったほうがいいかもしれません。
放置すると、さらに症状が悪化し、会社や学校に行けなくなり、そのまま時間が経過し、いつしか「ひきこもり」になってしまうことも考えられます。
「五月病」を予防・改善するには?
では、五月病になるのを予防するにはどうすればいいのでしょうか? また、すでに五月病になってしまった人は、どうすれば改善することができるのでしょうか?
五月病は、新しい環境に必死に慣れようと頑張って、疲れ果てた状態と言うことができます。
そうであるならば、五月病予防・改善のためには、とにかく「休む」ということに尽きるのです。
この場合の「休む」というのは、「身体を休める」ということだけではなく、「心を休める」、つまり、「リラックスする」という意味も含んでいるということを忘れないでください。
具体的には、次のようなことを意識して生活することがお勧めです。
・乱れた生活のリズムを整える
・溜まったストレスを上手に発散する
・できるだけ部屋に閉じこもらないようにする
・散歩やジョギングなど適度な運動をする
・森林浴をする
・お風呂にゆっくり入る
・栄養のバランスがとれた食事を心がける
この他にも、「身体を休める」「心を休める」方法はいろいろあると思います。
自分なりの「休み方」を見つけて実践してほしいものです。
カウンセリングで「五月病」を改善しよう
五月病というのは、身体に不調があらわれるケースもありますが、根本は心の問題であるため、予防・改善法としては、次のようなものもあります。
・家族や友人、先輩、同僚などに自分の考えや悩みを話す
悩みや考えを人に話しても問題が解決するわけではありませんが、気持ちが楽になったり、ストレスを発散する効果があります。
また、考えや気持ちを整理することができるという効果もあります。これにより、「これからどうすればいいのか」とか、「どうしたいのか」といったことが自然に明確になってきて、迷いが解消されてきたりします。
ただし、これには注意が必要です。「自分の悩みや考えを話す」ということは、本当に信頼でき、自分のことを理解している人でなければできないものです。
また、こうした自分の本音の部分というのは、相手に気を遣ってしまったり、遠慮してしまったりして話せなかったりするケースも少なくありません。
では、どうすればいいのでしょうか?
答えは簡単です。カウンセリングを利用してください。こういう時のために、私たちカウンセラーがいるのです。
カウンセリングでは、難しく考えずに、今、あなたが考えていることや悩んでいること、他の人には言いにくい正直な気持ちなどを自由にお話ししていただければいいのです。
それだけで、不安が解消されて気持ちが楽になったり、揺れ動いてまとまらない考えを整理することができたり、モヤモヤした感情や漠然とした思いを解消することができます。
気持ちが楽になれば、自然に前向きな気持ちが生まれ、意欲的に仕事や勉強に取り組むことができるようになります。
大型連休を終えてから、気持ちが落ち込んだり、やる気が起きなくて困っている人は、五月病である可能性があります。
その症状が深刻化する前に、カウンセリングを受けて、スッキリしませんか?