アドバイスしないのがカウンセリング
巷では、「結婚カウンセリング」や「転職カウンセリング」、「美容カウンセリング」「脱毛・増毛カウンセリング」などなど、さまざまな分野で「カウンセリング」という言葉が使われるようになりました。
「心理カウンセリング」もそのうちのひとつであるのは確かですが、しかし、他とはかなり異なる側面があります。
「心理カウンセリング」以外の「カウンセリング」は、その分野の専門家が、相談者に対してアドバイスをするのが当たり前になっています。
そのため、「カウンセリングというのは、アドバイスしてくれるもの」というイメージを持っている人がほとんどだと言えるかもしれません。
こうしたことから、「心理カウンセリング」でも、悩みや問題を解決するためのアドバイスをしてもらえるものと思っている人が少なくないようです。
しかし、前述のように、「心理カウンセリング」は他の分野の「カウンセリング」とは大きな違いがあるのです。
それは、他の分野の「カウンセリング」は積極的にアドバイスしてくれるのに対して、「心理カウンセリング」は、基本的に「アドバイスをしない」ものだということです。
もちろん、対話を続ける中で必要に応じてアドバイスをすることはありますが、それはあくまでも「することもある」だけであり、それが主たる目的ではないということです。
では、カウンセリングの主たる目的は何かと言うと、平たく言ってしまえば、「自分で気づいてもらえるように導くこと」です。
たしかに、他の分野の「カウンセリング」のように、専門家がアドバイスをすれば、問題や悩みはすぐに解決するでしょう。
「心理カウンセリング」では、こうした「結果」よりも、むしろそこに辿り着くまでの「プロセス」を重視するのです。
つまり、アドバイスによって結果(答えや解決策など)を得られたとしても、それが自分でつかみ取ったものではなく、与えられたものであっては、あまり意味がないと考えるのです。
見方によっては、非効率的かもしれませんが、「心理カウンセリング」とは、そういうものなのです。
広義のカウンセリング・狭義のカウンセリング
ひとくちに「カウンセリング」と言っても、大きな違いがあることがおわかりいただけたと思います。
そもそも「カウンセリング」という言葉をネット検索などで調べてみればよくわかるはずです。
「カウンセリング」で検索すると、「広義のカウンセリング」と「狭義のカウンセリング」と分けて解説されているのが見受けられます。
これはどういうことかというと、冒頭でも述べたように、次のように分類されるわけです。
【広義のカウンセリング】
ネット上の有名なフリー百科事典「W」では、このように説明されています。
「社会・経済・生活の各分野における種々の専門的相談援助行為を指し、例えば、就職関連、法律関連、美容関連、婚姻関連ほか、様々なものが含まれる」
つまり、冒頭でも述べた「結婚カウンセリング」、「転職カウンセリング」、「美容カウンセリング」などが、これに該当します。
【狭義のカウンセリング】
同じく「W」によると、次のように説明されています。
「精神心理的な相談援助、すなわち心理カウンセリングを指す」
そして、ここからが重要です。少し長くなりますが、よくお読みいただければと思います。
「アドバイスとは異なり、カウンセラーがクライエントに対して明確な解決策を直ちに提示することは原則的にない」
と断言したうえで、その理由について、次のように述べられています。
「これは、カウンセリングという場においてクライエントが自らに向き合い、その作業を通じて新しい理解や洞察に自発的にたどり着き、最終的にカウンセリングが終結した後には、カウンセリングにおける経験を生かしてクライエントが実生活の問題や悩みに主体的に相対して行けるように導くことが、カウンセリングの目的であると同時にカウンセラーの役目であるためであり、心理カウンセリングの際は大切にされる原則である」
カウンセリングサロンクローバーの心理カウンセリングの基本
「心理カウンセリング」では、基本的にアドバイスを行なわないこと、そして、その理由についてご理解いただけたと思います。
私たち日本うつ病サポート協会運営のカウンセリングサロンクローバーでも、上記のいわば「カウンセリングの基本」を重視しています。
まずはじっくりとお話を伺い、そのつらい気持ちに寄り添いながら、悩みの解決策を一緒に考えながら前に進んで行きます。
そのなかでは、必要に応じてアドバイスをさせていただくこともあります。
しかし、あくまでもカウンセラーは悩み解決のお手伝いをさせていただく立場であり、主体となるのはやはり、相談に来られるあなた自身なのです。
私たちがしっかりと寄り添い、支えていきますので、どんなことでも安心してお話しに来ていただければと思います。