違いがよくわからないカウンセリングと心理療法・精神療法
カウンセリングに関わっていると、時々、こんなことを聞かれることがあります。
「カウンセリングと心理療法って、違うものなんですか?」
たしかに、「カウンセリング」と「心理療法」は、同じようにも感じられますが、違うようにも感じられる・・・と、そんなふうに漠然と思っている人は少なくないようです。
さらに、「精神療法」という言葉もあるため、なおさらわかりにくくなって、混乱を招いているようです。
そこで、「カウンセリング」「心理療法」「精神療法」の3語について、違いや特徴などを解説していきたいと思います。
ただし、詳細について説明すると、ますます、こんがらがってしまいそうなので、イメージを理解できるような感じでわかりやすく説明していきます。
「心理療法」と「精神療法」の語源は同じ?!
まず最初に、「カウンセリング」「心理療法」「精神療法」のうち、「心理療法」と「精神療法」について説明していきましょう。
この「心理療法」と「精神療法」は、実は語源は同じものなのです。
というのは、英語の「psychotherapy(サイコセラピー)」という言葉の訳として、「心理療法」と「精神療法」の2通りが存在しているということなのです。
そしてこの2語は、領域によって使い分けられているのです。
具体的には、臨床心理学の領域では「心理療法」、精神医学の領域では「精神療法」と呼んでいるのです。
つまり、臨床心理士などが行なうのが「心理療法」、精神科医が行なうのが「精神療法」ということになります。
重い患者を対象とする「精神療法」と「心理療法」
「精神療法」は、精神科医が行なうので、病院などの医療機関で実施されるのが一般的です。
この「精神療法」は、近年、急増しているうつ病や双極性障害(躁うつ病)、統合失調症といった精神疾患が比較的重い患者を対象としています。
「精神療法」を単独で行なうことは少なく、そのほかの治療法(薬物療法や入院など)と組み合わせて行なわれるのが一般的で、治療期間は長期にわたることが多くあります。
一方、臨床心理士などによる「心理療法」は、「精神療法」と同様、重い患者を対象に、長期にわたって行なわれるのが一般的で、治療やパーソナリティーの変化・成長などを目的としています。
「カウンセリング」は悩みや問題の解決をサポートするもの
近年、「カウンセリング」という言葉はさまざまな分野で用いられるようになっています。
「美容カウンセリング」「結婚カウンセリング」「就職カウンセリング」といった言葉を耳にしたことがある人も少なくないでしょう。
そもそも「カウンセリング」という言葉は、ラテン語の「counsel」に由来しています。
この「counsel」には、「相談する」とか「助言する」といった意味があり、かつては「進路相談」や「職業相談」の分野で使われるようになりました。
その後、アメリカの臨床心理学者、カール・ロジャースによって、カウンセリングとは、患者に指示・指導したり、治療を施すのではなく、本来、クライエントが持っている回復力や成長する力を促していくものであるとされるようになりました。
また、ロジャースは「患者」ではなく「クライエント」という言葉を使い、その「クライエント」と「カウンセラー」は対等な立場であると主張しました。
つまり、「カウンセリング」は、臨床心理士や医師が行なう「心理療法」や「精神療法」のような「治療」ではなく、患者(クライエント)がもともと持っている力を引き出し、悩みや問題の解決をサポートするというものなのです。
そして、このロジャースが提唱した考え方が広く定着し、「カウンセリング」は現在に至っているわけです。
協会で行なっているカウンセリング
日本うつ病サポート協会運営のカウンセリングサロンクローバーでは、言うまでもなく「カウンセリング」を行なっています。
一般的な「心理カウンセリング(総合カウンセリング)」のほか、「うつ病相談」「うつ病再発防止コース」をご用意し、相談者のさまざまな悩みや問題に対応させていただいています。
時々、医療機関と誤解し、「保険はききますか?」とか「診断書は書いてもらえますか?」といったお問い合わせがあります。
当協会は、「心理療法」や「精神療法」による治療を行なう病院やクリニックではないので、保険適用や診断書発行はもちろん、薬の処方も行なっておりませんので、ご了承いただけますようお願いいたします。
私たちは、日々、「カウンセリング」によって、みなさんの悩みや問題解決をサポートさせていただいています。