うつ病の人はマイナス思考
うつ病になると、気持ちが後ろ向きになり、すべての物事のマイナス面しか見えなくなってしまいます。
実際には、プラスの物事がたくさんあるはずなのに、そうしたものには目が行かなくなり、マイナスの面ばかりが際立って見えてしまうのです。
これは、うつ病の人によく見られる、「思い込み」や「決めつけ」による症状であり、心の中にプラス面をシャットアウトしてしまうフィルターがあるようなものと考えればわかりやすいでしょう。
そのため、うつ病の人は、頭の中に物事のプラスの面が入って来ず、マイナス面ばかりが入ってくる状態になっているのです。
「ダメな自分でもOK」という気持ちからスタート
うつ病治療が順調に進み、回復の兆しが見えてくると、それまでマイナスの物事でいっぱいだった頭の中にプラス面が入ってくるようになります。
そうなると気持ちの変化が生じ、自分が今までマイナスの感情に支配されていたことに気づくことができ、回復の第一歩を踏み出すことができるのです。
この「気づき」に至る経緯は、人によってまちまちで、心理療法のひとつである認知療法を受けることで視野が広がり、気づきを得られる場合もあれば、とことんマイナス面を追求して初めて気づきに至る場合もあります。
こうした「気づき」に至る過程で重要なことは、大きく分けて2つあります。
ひとつは、「マイナスでも良い」と気楽に構えるということ。そしてもうひとつは、マイナスをマイナスとして受け止める、ということです。
「自責」から「自省」へ
「マイナスでも良い」「マイナスを受け止める」。
この2つの視点を得ることは、うつ病の人がそれまで支配されていた「自責」の考え方から、「自省」の考え方に変化するうえで欠かせない、非常に重大な視点と言うことができます。
この場合の「自責」というのは、たとえばそれまでは「あの時、ああすれば良かった」→「だから自分はダメなんだ」というように、とにかく自分を責める方向に物事を考えてしまうというものです。
それが、「自省」に変化すると、「あの時、ああすれば良かった」→「今度はこうしてみよう」というように、自分を責めるのではなく、反省して次に活かそうと考えられるようになるというものです。
うつ病の人はありのままの自分を認めることが大事
うつ病の人というのは、今の自分の症状を理解したり、客観視することができず、ただひたすら「出来ない自分」を追求してしまいます。
しかし、「マイナス」を受け入れることができれば、一気に視野が広がり、「自責」から「自省」へと気持ちが変わっていくのです。
それにより、「マイナスでも良い」と考え、「マイナスを受け止める」ことができるようになり、自分への理解が深まり、自分を認め、客観視することができるようになるのです。
結局のところ、「ダメな自分でもOK」と認めること、ひいては、ありのままの自分を認めるということが大事なのです。