うつ病克服には「完璧思考」からの脱却が重要
うつ病の人や、うつ病になりやすい人には共通の傾向があります。
そのひとつが「完璧主義」というものです。
どんなことでも完璧にこなすべきと考え、完璧にできなければ気が済まない。
自分に対しても、他人に対しても「完璧」を求めてしまう。
ほんのわずかなミスさえも許せない。
そのため、自分の思い通りにならないことがあったり、動いてくれない人がいるとイライラしてしまう。
そのイライラを他人にぶつけてしまう。
こうなると、当然、周りからよく思われませんから、人間関係がギクシャクし、いつしか孤立してしまうことになります。
その結果として、自分を追い詰めることになるのです。
さらに、現実の自分と、自分で作り上げた理想像とのギャップを許すことができず、自己嫌悪や自己批判へと発展し、しまいには心を病んでしまうことになるのです。
あなたは大丈夫ですか?
自分に「完璧」を求めていませんか? それは、自分に「完璧であること」を押しつけていることになるのですよ。
そんなことを続けていたら、自分が持ちこたえられるはずがありません。
たとえ今は大丈夫だとしても、いずれ耐えられなくなり、ダウンしてしまうことになります。
もうそんなことはやめにしましょう。
たしかに、この世の中にはとても優れた人物がたくさんいますし、過去には多くの偉人も存在しました。
しかし、これまでに一人として存在したことがないのは、「完璧な人間」というものです。
この世に「完璧」などありえませんし、「完璧な人間」など、一人としていないのです。
そのことに気づくことができれば、ありえない「完璧」を追い求めることはなくなり、楽な気持ちで生きられるようになるのです
このようなことを言うと、「それができれば苦労はしないんだよ」という声が聞こえてきそうですが、どうしてできないと初めから決めつけるのでしょうか?
それこそが、自分を追い詰めることにつながっていることに気づいてほしいのです。
では、どうすれば、いわゆる「完璧思考」をやめることができるのでしょうか?
客観的に自分を見つめる
「完璧思考」から脱却するためには、まず、自分自身を客観的に見つめることが大事です。
そこで、次から紹介する思考パターンに自分が該当していないかチェックしてみてください。
もし、該当するものがあれば、その思考パターンから脱却するための対処法も確認し、実践してみてください。
- パターン1~思い込み・決めつけ
これは、何の根拠もないのに、自分の考えが正しいと思うことです。
これに該当する人は、「いつも」とか「必ず」、「絶対」といった断定的な言葉をよく使う傾向が見られます。
≪対処法≫
・普段から「いつも」「必ず」「絶対」といった言葉を頻繁に使っていないかを確認してみる。
・自分の考えの論拠を丹念に探してみる。
・「成功」と「失敗」をしっかりと分け、過去に成功した経験を思い出してみる。
- パターン2~白黒思考
物事をすべて「白か黒か」「善か悪か」「0か100か」といったように、二極化(両極端に分けてしまう)して考えてしまうことです。
≪対処法≫
・あいまいさを認めて、受け入れるようにする。
・自分が「できていること」と「できていないこと」の両方を考えてみる。
・失敗した原因を自分の能力以外のところで探してみる。
- パターン3~べき思考
何をするにも「絶対にこうすべき」と考え、終わったことに対して「ああすべきだった」といつまでも思い悩むことです。
≪対処法≫
・何事に対しても柔軟に対応することを心がける。
・自分に対して他の人がどのようにアドバイスしてくれるかを想像してみる。
- パターン4~自己批判
問題やトラブルが起きると、すべて「自分のせい」だと決めつけ、自分を責めることです。
≪対処法≫
・何か起きたときに、その責任者を書き出してみる。
・その責任がある根拠を書き出してみる。
・そのうえで問題を整理する。
- パターン5~深読み
相手の何気ない言動に対し、相手が考えていることを勝手に考えすぎ、決めつけて判断してしまうことです。
≪対処法≫
・勝手に考えすぎずに、直接、相手に気持ちや事情を聞いて確認する。
・自分で確認できない場合は、第3者に確認してもらう。
・自分の考えの根拠を具体的に挙げたうえで、その反対の見方も挙げてみる。
- パターン6~先読み
これは、先回りして悪い方向へばかり考えてしまうことです。
≪対処法≫
・「失敗は成功のもと」と考えるようにする。
・失敗しそうな要素を検討し、具体的な対策を講じてみる。
・うまくいかなかった場合は反省し、次に活かそうと考えるようにする。
主観だけの思考から脱却する
前述の6つの思考パターンには共通点があります。
それは、自分の主観だけの思考になっているということです。
つまり、「客観性」や「客観的根拠」がないということです。
これをどうにかしようと思ったら、自分の考えに対して「本当にそうなのか?」と疑ってみること、つまり、「客観的に見る」ということが必要なのです。
自分自身を客観的に見つめることによって、「ダメな自分」も「よい自分」も認めるという考えができるようになってきます。
つまり、「完璧である必要はない」→「完璧な人間なんていない」ということに気づくことができるようになるのです。
日本うつ病サポート協会運営のカウンセリングサロンクローバーでは、みなさんのお話を聞くなかで、「完璧思考」からの脱却をお手伝いさせていただいています。