「自分はダメな人間だ」と思ってしまうワケ
一般に、うつ病の人や、うつ病になりやすい人には共通する特徴があります。
それは、「自責の念」が強い傾向が見られるということです。
たとえば、「自分はダメな人間だ」とか「自分を許せない」といったように、自分を責めてしまうところがあるということです。
しかし、本当に「ダメな人間」なんて、この世には存在しないのです。
なぜなら、自分では「できない(できなかった)」と思っていることでも、視点を変えてみると、実はちゃんとできているものだからです。
にもかかわらず、「自分はダメな人間だ」と思ってしまうのはなぜでしょうか?
それは、今の自分と、理想の自分が一致していないからなのです。
自分が思い描く「こうあらねば」という理想像にとらわれすぎてしまい、それができた時だけ自分を認め、できなかった時は、「できない自分」を否定してしまう・・・。
そのようなことを長きにわたって続けていると、徐々に自分を肯定する(=認める)ことができなくなってしまうのです。
そして、「自分はダメな人間だ」、そんな自分を「許せない」、しまいには「生きている価値がない」とまで思うようになってしまうのです。
理想のために無理をするのは危険
自分を否定し続けていると、自信を失い、精神的に辛くなってしまいます。
たしかに、理想を追い続けるのは、大変素晴らしいことではありますが、その理想のために無理をし続けるのは、とても危険なことだと言えます。
無理をして理想の自分を実現しようと頑張ったとしても、残念ながら「できないこと」はあるのです。
今まで無理をして頑張ってきた人は、誰よりもそのことを十分すぎるほどにわかっているはずです。
それでもまだ頑張ろうとしてはいないでしょうか?
頑張ってきた自分をいたわる
うつ病を改善したり、予防するためには、等身大の自分、つまり「ありのままの自分」をそのまま認め、その自分を大切にし、いたわることが大事です。
そして、自分のいいところを見つけて、たくさんほめることも重要です。
自分のことを「ダメな人間」「何もできない人間」と思っている人でも、必ずいいところがあるのです。
それを自分で見つけ出し、ほめてあげるのです。
【自分のいいところを見つける方法】
(1)「できたこと」を挙げる
これは、難しく考える必要はなく、ほんの些細なこと、日常の小さなことで構わないのです。
ただし、「憶測」ではなく「事実」であることが大事です。つまり、「たぶん」とか「きっと」といったあいまいなものではなく、間違いなく「できた事実」を見つけていくことです。
たとえば、「コップを洗った」「台所を片付けた」「玄関の掃除をした」「洗濯物を畳んだ」など、ほんの些細なことで十分なのです。
こうしたことは、間違いなく「できたこと」であり、あなたは「何もできない役立たず」ではないことを証明してくれているのです。
(2)よい意味付けをする
前述の「コップを洗った」ということであれば、それに対してよい意味づけをします。
たとえば、「自分はもともときれい好きなんだ」といった具合にです。
決して、「コップしか洗えていない」と考えるのではなく、事実としての「できたこと」に着目し、プラス思考の捉え方を自分に言い聞かせるのです。
こうしたことを意識し継続していくことで、それまで「できない部分」に着目し、自分のことを「できない人」「ダメな人」としか思えていなかったのが、いつしか「できる自分」に気づくことができ、「自分もまんざらではない」と思えるようになっていきます。
そうやって自分を認めることができるようになれば、そんな自分をいたわり、大事にし、ほめてあげることができるようになるのです。
【自分のほめ方】
では、自分をどうやってほめてあげればいいのでしょうか?
それまで自分を認め、ほめることができなかった人にとって、これはなかなか難しく感じられることかもしれません。
そこで、次のようなことを意識してやってみることをお勧めしたいと思います。
- 自分を信じる
- 自分は人より劣っているわけではないと考える
- 周りの人も自分のことを認めてくれていると信じる
- 「自信を持って行動しよう」と自分に言い聞かせる
- 過去にうまくいったことを思い出してみる
- 目標を少し下げてみる
- ありのままの自分を受け入れる(良い部分もそうでない部分もすべて受け入れる)
- うつ病になったのは恥ずかしいことではないと知る
このような、「自分をほめる」という行為は、すなわち、「自分を肯定する」ということでもあります。
そして、自己肯定感を高めることにつながり、うつ病の改善はもちろん、予防にもつながる効果があるのです。
「自分をほめる」というと、なんだか照れくさく感じたりするかもしれませんが、そんな必要はありません。
「自分をほめる」とは、自分を正当に評価するということでもあるのです。
だから、みなさんも遠慮することなく、自分をどんどんほめてあげましょう!
カウンセリングの中で自分のいいところを見つける
日本うつ病サポート協会のカウンセリングサロンクローバーでは、自信をなくしてしまっている相談者さんのお話をまずはじっくりと聞かせていただきます。
そうするなかで、実は「できている」のに、本人が気づいていない部分を見つけ出していきます。
そして、その「できている部分」「良い部分」に気づいてもらい、自分を認め、ほめることができるようにしていきます。
こうして、最終的には自己肯定感を持ってもらい、自信を持って生きていけるようお手伝いさせていただいています。
「自分はダメな人間だ」とか「自分を許せない」という思いにさいなまれている人は、ぜひ一度、協会のカウンセリングを受けていただき、自分を認め、自分をほめることで、自分に自信をつけていってほしいものです。