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発達障害の基礎知識

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Asperger man

発達障害とは?

発達障害とは、先天的な脳の働き方の違いによって、コミュニケーション、対人関係、行動や注意のコントロールなどに困難を抱える状態を指します。日本では「発達障害者支援法」により法的にも定義されており、医学的には「神経発達症群」として分類されます。乳幼児期から特性が見られ、生涯にわたり特性は持続しますが、支援や理解により生活の質を高めることは十分可能です。

主な種類と特徴

発達障害にはいくつかの主なタイプがあります。

1. 自閉スペクトラム症(ASD)

ASDは、社会的なコミュニケーションの困難、こだわりの強さ、感覚過敏や鈍感などが特徴です。例えば、人の表情や言葉の裏にある意図を読み取るのが苦手だったり、スケジュールの変化に強いストレスを感じたりします。また、特定の分野に対して非常に強い興味や集中力を示すこともあります。

2. 注意欠如・多動症(ADHD)

ADHDには「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの主な特徴があります。不注意型の人は集中力が続かず忘れ物が多い傾向にあり、多動・衝動型ではじっとしていられない、思いついたことをすぐに口に出すといった行動が見られます。これらの特性は、学業や仕事、人間関係に影響を及ぼすことがあります。

3. 学習障害(SLD)

学習障害は、知的発達に問題がないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」といった特定の学習能力に著しい困難を抱える状態です。たとえば、文字は読めるが意味が理解できない、計算は得意だが漢字が書けない、といったケースがあります。

発達障害の原因

発達障害の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因や胎児期の脳の発達過程の影響など、主に生物学的な要因が関係しているとされています。親の育て方や本人の努力不足が原因ではありません。

発達障害の二次障害

発達障害そのものよりも、それによって引き起こされる「二次障害」が問題になることも多くあります。たとえば、自分の特性が理解されずに叱責や孤立を繰り返すと、自己肯定感が下がり、うつ病や不安障害、引きこもりなどを併発することがあります。早期発見と理解のある支援が重要です。

支援と対応

発達障害は「治す」ものではなく、「理解して対応する」ことが基本です。適切な支援により、その人の強みを活かした生活が可能になります。

  • 教育的支援:特別支援学級や通級指導など、子どもの特性に合わせた学習支援が行われています。

  • 福祉サービス:発達障害者支援センターや就労支援機関など、大人向けの支援も整備されています。

  • 医療的支援:ADHDなどでは薬物療法が行われることもあります。また、心理的な支援やソーシャルスキルトレーニング(SST)も有効です。

  • 環境調整:仕事や家庭、学校で、本人の特性に配慮した環境を整えることで、大きなストレスを避けることができます。

社会の理解と共生

発達障害は外見からは分かりにくく、誤解や偏見を受けやすい障害です。そのため、周囲の理解と配慮が不可欠です。近年では「多様性(ダイバーシティ)」の観点から、発達障害のある人がその特性を強みに変えて活躍する例も増えています。社会全体が「普通」や「当たり前」に縛られず、柔軟に人と接することが求められています。

発達障害は生まれつきの脳の特性によって生じる状態であり、特性に応じた理解と支援が不可欠です。一人ひとりに異なる個性と能力があるように、発達障害のある人もまた、得意なことと苦手なことを持っています。社会がその多様性を尊重し、共に生きるための環境を整えることが、すべての人にとって生きやすい社会をつくる第一歩となるのです。

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