うつ病になると自己評価がマイナスになる
うつ病になると過剰に自分を責める傾向があらわれ、「自分をダメ人間だ」と思い込むようになってしまうのが一般的です。
たとえば、仕事中にコピーを取る枚数を間違えてしまい、上司から注意されたといった、ちょっとしたミスを犯してしまったとしましょう。
このようなとき、心が健康な状態であれば、多少、凹むことはあっても、「次は気をつけよう」と気持ちを切り替えることができるので、必要以上に落ち込んだりしてしまうことはないはずです。
ところが、うつ病の人は、たったこれだけのことで「自分は役に立たない人間だ」「何ひとつまともにできないダメな人間だ」と極端に考えてしまいます。
そして、自分のことを「無能な人」だと思い込んでしまうのです。
その様子を周りの人が見ると、「そんなに落ち込まなくてもいいのに」と感じるのですが、うつ病の本人にとっては自分の存在意義に関わる極めて重大な問題となっているのです。
ではなぜ、うつ病の人は自分のことを「ダメ人間」「無能な人」と思い込み、ひどく落ち込んでしまうのでしょうか?
うつ病の人は自己評価がマイナスになっている
うつ病の人が自分のことを「ダメ人間」「無能な人」と思い込んでしまうのは、自己評価が非常に低く、マイナスにまでなっているからなのです。
たとえば、日常生活の中でのごくありふれた出来事について、客観的に見れば本人の責任でも何でもないことであっても、勝手に自分と結びつけて、「自分のせい」だと思い込んで、自分を責め、そして追い詰めてしまうのです。
こうなると、自然に自己評価が下がっていくことになり、「自分は役に立たない人間だ」「何ひとつ出来ないヤツだ」と思い込むようになります。
そして、そう思う自分に対して嫌気が差していき、次第に「生きる価値がない」とさえ思うようになってしまうのです。
本人がこのような状態になってしまうと、周りがいくら「○○さんはちゃんと出来ているよ」とか「すごく頑張っているね」などと心から思い、励ましたとしても無駄なのです。
当の本人がまったくそう思えていないのですから、到底、心に響くことはないのです。
周りの励ましなどの言葉は、本人にしてみれば、「どうせ本心ではないくせに」といった具合に、歪んだ受け止め方しかできなくなっているのです。
このように、うつ病の人は自分に対してだけではなく、他人に対してまでも正常な判断ができない精神状態になっているということなのです。
うつ病の人は自分だけの思い込みに支配されている
前述のように、うつ病の人は、自分や他人に正常な判断ができなくなっています。
そして、自分になりに勝手に描いた「思い込み」に深くはまり込んでいき、マイナスの感情を強めていってしまうのです。
言うまでもありませんが、うつ病の人が頭に描く「思い込み」の内容には、まったくもって根拠がありません。
たとえば、うつ病の人が、「自分は何の役にも立たないダメ人間だから、この世にいないほうがいいんだ」という考えを持っていたとしましょう。
通常であれば、このような考えを持つことはありませんし、正常な判断ではないことはすぐにわかるはずです。
しかし、うつ病の人は、本気でこのようなことを考えているのです。
このような考え方は、うつ病の人自身が「自分は役に立たない」という思い込みに囚われているだけであって、周りの人は決してそう思っていないかもしれません。
しかし、うつ病の人は、自分の考えが正しいという思い込みに支配されているのです。
そのため、周りの人のことが理解できませんし、逆に周りの人もそのうつ病の人の気持ちを理解するのが難しいということになってしまうのです。
だからこそ、うつ病に関する知識と情報が必要なのです。
うつ病になると、どのような「思い込み」を抱きやすいのかといった知識などを持っていれば、どのように対応すればよいかわかりやすくなります。
日本うつ病サポート協会運営のカウンセリングサロンクローバーでは、うつ病の人の相談やカウンセリングを行なうと同時に、うつ病の人をサポートする人向けのセミナーなどを実施しています。
また、協会やクローバーのホームページでは、随時、うつ病など心の病に関する知識や情報を発信しているので、ぜひともご覧いただき、知識と理解を深めていただければと思います。