「カウンセリングには効果がない」という意見を真に受けないで!
心の病の治療や改善の方法は大きく分けて「薬物療法」と「心理(精神)療法」の2つがあります。
薬物療法は、文字通り、薬によって症状を緩和したり抑制したりする方法です。
一方の心理療法は、この中のもっとも基本的なものが「カウンセリング」と言っていいでしょう。
このカウンセリングについては、直後に気持ちがスッキリするなど劇的な変化(効果)が得られるケースもありますが、多くの場合、薬のように明確な効果が実感できにくかったり、効果があらわれるまでに時間がかかるケースがあります。
こうしたことから、カウンセリングの効果に関して懐疑的な声が聞かれることがあります。
つまり、「カウンセリングには効果がない」という意見です。
しかし、このような意見を真に受け、カウンセリングを受けることをやめてしまうのは、とても、もったいないことなのです。
なぜなら、カウンセリングの効果に関しては、多くの研究により実証されているからなのです。
カウンセリングを受けなくても自然治癒する?
カウンセリングの効果については昔から多くの研究が行われてきました。
その中でも、もっとも古い研究は1952年に行われました。1952年(昭和27年)と言えば、今から66年前に当たり、日本では手塚治虫「鉄腕アトム」が月刊誌「少年」で連載スタートした年であり、また、日米安全保障条約が発効した年でもあります。
あまりにも昔のことでピンと来ないかもしれませんが、それほど以前からカウンセリングの効果について研究が行われているということなのです。
さて、この1952年には、イギリスの心理学者・ハンス・アイゼンクが心理療法の効果についての研究を行っています。
このアイゼンクの研究では、神経症を患っている人の3分の2は、何の治療も受けなくても、数年以内に治ったとしています。
つまり、神経症が自然治癒したということであり、この治癒率の高さは、心理療法を受けた人たちを上回ったというのです。
さらに噛み砕いて言えば、神経症など心を病んだ人の多くは、放っておいても治るというわけであり、わざわざ心理療法など受けなくても治ってしまうということなのです。
さらに、アイゼンクは1960年代に行った研究においても、「行動療法を除けば心理療法の効果は実証されなかった」と述べているのです。
つまり、最初の研究から8年余りが経過しても、なお自説は正しいことをアピールしたのでした。
心理療法の効果に関する研究・議論が活発になる
いずれにせよ、アイゼンクのいわば「心理療法不要論」は、心理学の研究者や精神科医、患者らにまで大きなショックを与えたのは言うまでもありません。
当然、アイゼンクの主張に対する反論が浮上したり、まさに喧々諤々、さまざまな議論が活発に展開するようになりました。
こうした議論の中では、心理療法に関する根本的な部分に関わる重大かつ素朴な疑問が沸き上がりました。
それは、「心理療法は効果があるのか?」「どんな効果があるのか?」といったものです。
こうした疑問を解決すべく、大きくの研究者が奮闘した結果、さまざまな研究結果が報告されるようになりました。
「メタ分析」によって科学的かつ客観的な研究が進む
心理療法の効果に関する多くの報告がなされると、今度は「一体どれが正しいのか?」という疑問が浮上することになります。
そこで、複数の研究結果を統合的に分析する「メタ分析」という手法が導入されるようになりました。
これにより、心理療法の効果に関して、科学的かつ客観的な研究がさらに進められていきました。
心理療法を受けた人の8割が、受けなかった人より改善した!
このように、心理療法に関しては、長きにわたって、さまざまな研究と議論が行われました。
その結果、導き出された結論は次のようなものでした。
「心理療法を受けた人は、そうでない人よりもより改善した」
この結論が広く共有されるようになり、定着するに至りました。
そして、近年(過去約30年)のメタ分析では、心理療法の平均的な効果について、次のような結果が出ています。
「心理療法を受けた人の8割が、受けなかった人より大きな改善を示した」
このように、先人たちの熱心な研究の数々により、「心理療法には効果がある」ということが明らかになっているのです。
したがって、心理療法のひとつである「カウンセリング」も、心の病の改善に大きく貢献するものであると言うことができるのです。
協会運営クローバーのカウンセリングでうつ病改善
日本うつ病サポート協会運営のカウンセリングサロンクローバーには、うつ病をはじめとする心の病を抱えた方や、そのほかの悩みで苦しんでいる方が日々たくさんお越しになります。
抱えている病や悩みは人それぞれですが、私たちカウンセラーは一人ひとりにしっかりと向き合い、そして寄り添うことで、一緒に苦しみから解放されるための方法を考えていきます。
その結果として、もちろんすべてとは言いませんが、多くの方々の心の重荷を軽減したり解消していただくことができていると信じております。
事実、来訪された時には暗い表情で重い足取りだった方が、カウンセリング終了後には足取りも軽く笑顔で帰って行かれることが多くあります。
もちろん、何割の方のお役に立てているのか統計を取っているわけではないので確かなことはわかりません。
しかし、それでも私たちは可能な限り、みなさんの「心の笑顔」のために精進して参りたいと思っております。